一般社団法人ペットインテリア協会
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人気コラム 第2回 「隠れ家」(金巻とも子さん)





私の仕事は、
犬や猫と「伴侶」として暮らす方から相談を受けて、住環境の改善や向上のための提案をすることです。住宅の設計はもちろんですが、居場所の見直しや人の家族の生活行動の改善など、建築工事を伴わない提案も行ってきました。

その活動は20年を超えています。

そのような活動の中、
「ペットと暮らすために大切な事を 1つだけ挙げるとすれば何ですか」と 尋ねられる事が多いですが、 住環境を整備する視点からは、 犬猫に共通する事項として 「隠れ家」を挙げるようにしています。



「隠れ家」という言葉が、
今は一般的にも広く犬や猫と暮らす住まいの工夫で使われるようになってきました。

実は、活動初期から
「家の中にも犬や猫のための 隠れ家を確保してください」と 私は呼びかけてきましたが、 初めのころは 「隠れ家」という言葉が嫌われました。 悪い印象を与えると、 新聞では使わせてもらえない事もありました。

そもそも、
「隠れ家」自体も「引きこもりスペース」を 言いかえたものでした。これも、新聞で記事を載せるために別の言葉で言いかえられないか、と頼まれて考えたものです。当時、「引きこもり」が社会問題としてクローズアップされていた時期でもあったからでしょう。


ところが、
海外ではその頃すでに、犬や猫達への福祉の室内環境として必要な小空間を 「Hiding places(隠れる場所)」とか 「Hiding box(隠れる箱)」と表現しています。

つまり、その小空間の使用目的や用途は 「隠れる(引きこもる)」事なのです。

家は、家族であっても自分以外の他者との共有空間です。

少しばかり狭い空間に身を「隠し」て、心が落ち着くように「こもる」のは、どの動物にも共通した、心の健康のために必要な行動で、隠れるための小空間は必須のアイテムといえます。


自宅においても、
家族からも離れて独りになれる小空間が必要なのは、人も同じです。その独りのための小空間が、生活空間の適切な位置に配置され、適切な向きに開口されていることが、空間を共有する家族や仲間とストレス無く関わるための条件であることは、人も犬猫も同じだと思います。

家庭においては、
人が住まいの中では一番大きい(であろう)動物なので、部屋の間取りという形で個室として創られます。その個室が大きな空間であれば、ベッドやソファー、または囲われた書斎スペースなどでサイズを「適度に狭いように」調整していきます。


犬や猫となると、
人よりもだいぶ体のサイズは小さいですね。人との空間で生活しているため、さらに小さい空間を室内に創る必要があり、そこで家具の活用が大きく期待されているのです。




金巻とも子さん プロフィール

「かねまき・こくぼ空間工房」主宰。
一級建築士。家庭動物住環境研究家。

設計業務の他、家庭動物(ペット)との暮らしをテーマに、建材メーカーや不動産の商品開発に協力。行政や獣医師会、動物愛護団体等にも協力し、住宅密集地・集合住宅におけるペット飼育問題に取り組んでいる。著書に「犬・猫の気持ちで住まいの工夫」(彰国社),『マンションで犬や猫と上手に暮らす』(新日本出版社)などがある。



かねまき・こくぼ空間工房ホームページ