お知らせ
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ペット向けインテリアの“動物行動学的評価 ~犬猫にヒヤリングするコツ~

「ペット向け」として販売されているインテリアや建材。人間にとって「丈夫」「汚れにくい」「デザインが良い」ことは分かりますが、果たして「ペット自身は本当に気に入っているのか? 安全だと感じているのか?」という疑問を持ったことはないでしょうか。
そこでペットインテリア協会では、2025年の展示会「第8回ペットインテリア展」において、動物行動学の専門家である ヤマザキ動物看護大学・堀井隆行 先生をお招きし、科学的な視点からペットの「本音」を探る手法についてのセミナーを開催いたしました。
■ セミナー内容
セミナーのテーマは 「ペット向けインテリアの動物行動学的評価 ~犬猫にヒヤリングするコツ~」 でした。 ペットにとってのインテリアの「良し悪し(安全性、快適性、好み)」を、飼い主の思い込みではなく、「動物行動学的評価」 という科学的な手法を用いて客観的に判断する方法について解説いただきました。
“動物行動学的評価”とは、具体的に以下のようなアプローチを指します
【動物行動学的評価とは】
• 設定した環境条件下で動物の行動を観察し、安全性や快適性、嗜好性を評価する方法。
• 「使ったから気に入っている」と単純に判断するのではなく、「どちらを素早く選んだか」「どちらで長くくつろいだか」といった行動の質や量を分析する。「使っている」=「お気に入り」とは限らない

動物行動学的評価とは

■ ポイント
セミナーでは、言葉を話さない犬や猫から、インテリアに対する正しい評価(ヒヤリング)を引き出すための重要な「観察のコツ」が紹介されました。
コツ1:選択肢を与える(二者択一)

単一のテストではなく、AとBを比較させることで、動物の明確な選好性が現れます。
1.「使っている=好き」とは限らない
ペットがその場所を使ったとしても、他に選択肢がないから仕方なく使っているだけかもしれません。本当に好んでいるかを判断するには、複数の選択肢を用意する「二者択一試験」などが有効です。
コツ2:「どう選んだか」の量を測る

選択までの時間が短い、休息時間が長いなど、嗜好性や快適性の指標値から判断します。
2.「迷いのなさ」や「滞在時間」を見る
単に「選んだ・選ばない」の結果だけでなく、「選ぶまでの時間(反応潜時)」や「くつろいでいる時間の長さ」を測定することが重要です。迷わず素早く選んだり、伏せてリラックスする時間が長いほど、そのインテリアへの好感度や快適性が高いと言えます。
コツ3:「観察者効果」を排除する

ペットは人の視線や動きを読み取るため、 サングラスを着用したり隠れて観察したりする工夫が必要です。
3. 飼い主の「視線」に注意(観察者効果)
動物は人の動きや視線に敏感です。飼い主が無意識に正解の方向を見たりすると、ペットがそれを読み取って行動してしまいます。実験時はサングラスをかけたり、姿を隠したりして、人の影響を排除することが不可欠です。
コツ4・5バイアス(偏り)を避ける

左右の配置を入れ替えてみたり、試す順番をランダムにしたりして、位置や順序による偏りを防ぎます。
4.「片側ばかり選ぶ」癖への対策
個体によっては、対象物の中身ではなく「片側にあるもの」を常に選ぶ癖(位置偏好性)がある場合があります。置く場所をランダムに入れ替えて確認する必要があります。
5. 前の床材の記憶に左右されないように
例えば「滑りやすい床」を歩いた直後は、その警戒心から次の床での歩き方が変わってしまうことがあります(順序効果)。テストする順番をランダムにする工夫が必要です。
■ 分かったこと
• 科学的な視点で「良し悪し」を評価する重要性
「ペット向け」と謳うためには、人間の主観ではなく、動物行動学に基づいた客観的なデータによる裏付けが重要です。• 観察環境の設定が結果を左右する
人の立ち位置や視線、サンプルの提示順序など、環境条件を細かく設定することで、初めて信頼性の高いデータが得られます。• 家庭での「うちの子ヒヤリング」にも応用可能
今回紹介された観察のコツ(人の気配を消す、選択肢を与えるなど)は、研究だけでなく、ご家庭で愛犬・愛猫の本当の好みを知る際にも役立ちます。まとめ:商品開発と「うちの子」理解に活用
科学的なヒヤリングは、優れたペット用品の開発だけでなく、家庭での愛犬・愛猫への理解にも役立ちます。

ペットインテリア協会では、今後も専門家の知見を取り入れながら、真にペットが快適・安全に暮らせる住環境の普及に努めてまいります。